闇ノ雫
それに怯むことなく、さらに二つ投げるが、それも避けられ木に刺さる。
その隙に間合いを詰め、苦無を次々と投げつけた。
お互い、布の隙間から睨み合う。
しかし……この敵が女だということに気付いた。
何故なら長い髪を結わえているから。
しかも、この女の動き。
“小さな動き”
“身を出来る限り縮め、気配を消す”
女は木に登って、そこから俺に投げた。
そして、くるくると小さく器用に回りながら木から飛び降りるなり、女は俺に向かって苦無を振り回す。
その動きを抑えようとするものの、相手が女であることに動揺してしまい、なかなか反撃できない。
それに……まさか、そんなはずはないだろう。
──これが、“小松流”だなんて。
俺は女に押し倒されたが、意を決して腕を掴み、苦無を打ち落として立場を逆転させた。
すなわち、俺が上で女が下。