闇ノ雫
僕は変わり者だと思う。
だって、そこら辺で遊んでいる男の子達は、
“自分は武士になりたい”って言っている子ばかりだから。
だけど僕は……。
たくさん特訓をして、父上のような強い忍になる。
それが、僕の夢。
だから父上にそんな事を言われて、驚いたんだ。
忍は、今の僕にはまだ遠い存在で……本当に、父上のようになれるのか、と。
驚きと同時に、歓喜に満ち溢れるのが分かった。
「……僕が、山崎家の跡取りですか?」
「あぁ、もちろんだ。……烝、強くなれ」
“強くなれ”
それが、父上の口癖だった。