闇ノ雫
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池田屋に近付くにつれ、だんだん人が混雑していく。
今日は祇園祭があるからだろうか……いや、そうではない。
やはり、人々は気になってしまうようだった。
何故、新撰組が池田屋に御用改めをしたのかを。
確かに今、京は祇園祭で賑わっている。
しかし、池田屋の前は傍観者で溢れていた。
悲鳴を上げている女性、池田屋から聞こえてくる肉を引き裂く音に怯える子供。
そんな人達を掻き分け、俺は池田屋の中に足を踏み入れる。
同時に、ぬるっとした赤い液体で、足がもつれた。
……どこかに小松がいる。
早く探さないと──。
「山崎さん!?土方さんたちは!?」
この激闘の中、永倉さんが刀を敵に突き刺しながら俺に話しかけてきた。