闇ノ雫




……否、俺は自らの目を疑った。


沖田さんの隊服についている赤い物。


どこに怪我をしたのか確かめるべく、血の元まで辿れば──。





「げほ……っ!やまざ…きさん、早く芳乃さんのところへ……!」





……原点は、口だった。


沖田さん自身の。


まさか……いや、沖田さんに限ってそんなこと。


俺が迷いを隠しきれずにいると、沖田さんは無理に起き上がり、俺の体を弱く押した。





「早く……」


「……だが…!」


「芳乃さん、追い詰められています!私助けに行こうとしましたが、こんな、情けな……」





途中まで言うと、沖田さんは再び鮮血を吐き出した。



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