闇ノ雫




何度か咳をした後、今度は両手で俺の腕にすがりつく。





「早く行って下さい!それから……このことは、誰にも言わないように……げほっ…」





そこまで言うと、沖田さんの腕はだらんと床に落ち、がくっと頭を下に向けた。





「おねが……しま…」





そんな沖田さんの肩をしっかりと掴み、壁によりかからせる。





「……分かった。だからもう喋らなくていい」





そう言うと、沖田さんは安堵したようだった。





「すぐ戻るから待ってろ」





俺はサッと地面を蹴り、小松の姿を探し始めた。




< 62 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop