闇ノ雫
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奥の部屋まで走ると、そこではもう既に激闘が繰り広げられていた。
小松と、もう一人見覚えのある男が、刀を交えている。
あの男は……そうだ、吉田だ。
ぐっと唇を噛みしめ、苦無を握る。
小松は、ついこの間買った刀を抜いて戦っていたが、やはり経験が浅く窓際に追い詰められていた。
俺が苦無を吉田に向けて構えると同時に、床に倒れた小松に向かって、吉田が刀を振り下ろす。
……間一髪だった。
「う、あぁ……っ!」
俺が握っていた苦無は、吉田の手に直撃し、やがてその刀が鈍い音を立てて床に落ちる。
途端に、赤黒い鮮血が畳を濡らした。
この時小松は、放心状態でしばらく宙を見つめていた。
「小松っ、もういいから下へ行け!」
俺がそう叫ぶも、小松の耳には届かない。