闇ノ雫
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この事件で、重症を負った隊士はたくさんいた。
その隊士たちの看病もしていたが、包帯を巻き、あとは安静にしていれば治る者ばかりであった。
沖田さんは……あの時血を吐いたが、今はけろっとして稽古をしている。
藤堂さんや永倉さんも、斬られた箇所に包帯を巻き、しばらくの間は安静を要した。
しかし……
問題なのが、小松であった。
「……山崎、小松は目を覚ましたか?」
「いえ。まだ、気がついていません」
毎日、そのように副長に報告していた。
副長は、その度ため息を吐く。
「小松には行かせるべきではなかったか……山南さんと一緒に、留守をさせれば良かったかもな」
眉間にしわを寄せた副長は、日々こんなふうにして、自分の中でたくさんのことを抱えているのだろう。
しばらくの沈黙ののち、副長が何かを思い出したように俺の方を向いた。
「山崎、そういえばお前、あの時一人で勝手に池田屋に向かったみたいだが…?」
「……その節は、誠に申し訳ありませんでした。以後気をつけ…」
「いや、そうじゃない。お前その時の小松の様子、覚えてねぇか?」