闇ノ雫


──
───
────


小松が気を失ってから、三日目の朝。


いつ小松が起きてもいいように、粥を用意したりしていた。


だが、一向に目を覚ます気配はない。


人が目の前で死んだのが、よっぽど衝撃的だったのだろう。


小松の前で殺すべきではなかった。


しかし打つ手はあれしかなかったのだ。


小松を守るためには──。


あのような行動を起こさなければ、小松は確実に殺られていたのだから。


そんなことを考えながら、俺はいつの間にか……小松の側で寝ていた。




「山崎……?」




そして、どれだけの時間が経ったのだろうか。


小さな声が聞こえ、ゆっくりと視界に光が入る。


そこには、目をさ迷わせている小松の姿があった。




「小松、起きたのか……?」


「……うん」




その返事を聞いた途端、俺の中には、安堵した気持ちと、ほんの少し怒りのような気持ちと……様々な思いが混じっていった。


いつの間にか、体が勝手に、小松を抱きしめていた。




< 67 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop