闇ノ雫
──
───
────
「──いたたたっ!」
「我慢しろ」
それから数日経つと、小松は深い傷を負って帰ってきた。
藤堂さんの話によると、酔っていた不逞浪士に斬られたらしい。
……それも、背中に。
小松流の忍が、背を斬られたのだ。
医学を心得ている俺は、止血法などを知っていて、小松の深い傷から流れる血を何とか止めたが……。
小松は、敵の気配が分からなかったのだろうか。
何故、背中を……。
最初に俺達が戦ったときは、小松からただならぬ殺気が感じ取れ、あいつだって気配に敏感であるはず。
隙などないはずだ。
それなのに、小松は隙を見せるほどまで、急激に弱くなっていた。