闇ノ雫
ため息を吐くが、ずっと前小松が酒を飲んだときのことを思い出す。
そう言えばこいつ、かなり酔いやすいんじゃなかったか?
「やめとけ」
俺はそう一言言うと、小松から盃を奪い取り、自分の口に含んだ。
「ちょっ、山崎!私が飲もうとしたのに!」
「お前が飲むと面倒な事になる」
「……はぁ⁉何それ!」
普段酒はあまり飲まないのだが、今は仕方がない。
“行かないで……”
それは数年前のこと。
酔った勢いで、俺の腕を離さなかった小松を思い出す。