闇ノ雫
……これから戦うのなら、絶好の機会だ。
父上が戦っている所を見られるのだから。
そんな期待を胸に抱きながら、俺は歩みを進めようとした。
しかし。
「うああぁぁっ……!」
直後、そんな悲鳴が耳に入った。
ピタリと、自然に足も止まってしまう。
今のは、何だ……?
門の向こう側から聞こえたような気がする。
もう一度確認しようと、耳をよくすます。
「母様あぁぁ!」
「──っ」
確信した。
音源は、やはりこの家の中にある、と。