変わり者同盟
温かい、優しい声と手に、涙がぶわっと溢れる。


『く、りゅう、くんっ・・・』

『ん?』

『ごめんねっ・・・ごめんねっ・・・・・・』


ぼろぼろと涙を流しながら謝り続けるあたしの頭を、久流君はずっと黙って撫で続けてくれた。



そして、なんとか涙が止まって、鼻をぐずぐずいわせながら応援席に戻る途中。


『・・・あのさ。俺、宮部は頑張ったから、そんな、自分を責めなくていいと思う。
たかが中学のリレーだし。』

『・・・・・・たかが、じゃ、ないもん。』


静かに言う久流君に、あたしはぶすっと答えた。

泣き顔を見られたり本心を見られたりしたのが恥ずかしかったし、あたしにとっては“たかが”なんかじゃなかったから。


『まぁ、確かに宮部にとっちゃそうなんだろうけどさ。でも、元気、だせよ。
また来年もあるんだし。』

『・・・らい、ねん・・・・・・。』


笑って言う久流君の言葉を繰り返せば、単純だとは思うけど、少しふっと心が軽くなった。


・・・・・・そうだ、あたしはまだ1年で、まだ、あと2年あるんだ・・・。


『次、一位取ればいいだろ。な?』




その時、初めて見た久流君の笑顔は・・・どこまでも、優しくて、温かくて――



あたしは、その時から。


久流君に恋をするハメになってしまった。






――でも。



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