変わり者同盟
勇気のないあたしは、久流君に話しかけることなんかできなかった。


いつも、見てるだけ。


2年生になれば、クラス替えでクラスが別になっちゃって、顔を見ることさえできなくなった。



それでも、あたしの心は変わったりなんかしなかった。


だから、3年生の時にはすでに、皆との距離の取り方がなんとなく分かってきてたあたしは

久流君がどの高校へ行くのか必死に情報収集して、頑張って同じ高校へ行ったんだ。


久流君が希望していた高校は、なんと美沙が希望していた高校と同じで、すると菜子までもが『あたしも行く!』と言い出して・・・

2人とも、同じ高校を受験した。



色々あったけど、それでも高校に入学して、久流君と同じクラスだと分かった時、嬉しくて一瞬ぼぅっとしてしまった。


しかも、美沙と菜子とも同じなんて、奇跡だと思った。





だけど――



入学してから一ヶ月経ったかたたないかのある日から。


久流君の視線が、ある女の子を追い始めた。



地味で目立たなくって、未だに友達ができていなくていつも1人の女の子。


初めは、久流君は優しいから気にかけてるんだと思って、気にしてなかった。



けど、次第にそうじゃないって気付いた。


久流君のその子を見つめる視線は、あたしが久流君を見つめる視線と同じだったから。


見間違えるはずなんてなかった。

だってあたしはずっと久流君に恋してたんだから。



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