変わり者同盟
『謝って!!!』

叫ぶように必死に紡がれた言葉が、脳内にリピートされる。


でも、あたしはその言葉に答えることなく、逃げるように立ち去った。




・・・・・・でも、でも、あたしはまだ・・・

まだ、あの子にムカついてる。


久流君が気になってるっていうのに、うじうじしてて。

久流君が見てることに全然気付いてなくて。

それなのに久流君のことを憧れの視線で見て。


ムカついた。

だって、あの子はあたしの好きな久流君の思いに全く応えてなかったんだもん。


勿論、そんなのはあたしの独りよがりで、あの子にしてみればいい迷惑だっていうのは分かってた。

そう、理屈では分かってたんだ。


でも、心は抗議の声をあげていて。

あたしはその声を無視することができなかった。



でも、あの子は最近久流君と一緒にいるようになって・・・本気で久流君のことを好きになったみたいだった・・・。


それに―――『謝って』と、あたしに言ったときの、あの瞳。

声は震えていたのに、瞳はあたしたちをひたと見据えていて。


真っ直ぐな視線を感じて、あたしは初めて・・・・・・・


あぁ、と、思った。


あぁ、そっか、って、認めることができた。

久流君があの子を好きになったことを。


あの子は本当は、芯が強いんだって、なんとなく感じたから。



だから、本当はあたしはムカつきを無くして、あの子に謝るべきだったんだと思う。



< 109 / 140 >

この作品をシェア

pagetop