変わり者同盟

本当の裏庭

――――――――――・・・・・・



私は一時間目の古文の授業を聞き流していた。


“本当の裏庭”

久流君が話してくれたことが、頭から離れない。


『つまりさ、一般の奴らが“裏庭”だと思ってるあのゴミ置き場はただのゴミ置き場なんだよ。』



・・・・・・そう。

私が裏庭だと思っていたのは、校舎の裏のゴミ置き場。

そこは、小さなスペースがあって、花や草も生えているから、皆そこを裏庭だと思っていた。


けれど、久流君のよると、そうではないらしい。

『裏庭はさっきのあそこなんだけど・・・あそこは秘密なんだよな。

大切な場所だから、汚されたくないんだって。だから、誰も知らない。』


じゃあ、なんで久流君が知ってるのと聞けば。

久流君はあっさりと爆弾発言をした。


『俺、校長の孫だから。』


・・・・・・・・・初耳だった・・・。

すももちゃんも、そんなこと一言も言ってなかったし。

そもそも、校長先生のことなんて皆考えてないもんね・・・。


『あ、でも、汚されたくないっていうのは、じいちゃんが言ったことじゃないから。

じいちゃんは汚して欲しくないって、ある卒業生に言われただけらしいから。』


ある卒業生、か。

それが誰かは、久流君も知らないみたい。
プライバシーの侵害になっちゃうんだって言ってた。


・・・・・・大切な場所・・・。

私も、だ。
私も今日、あの場所が大切な場所になった。

汚されたくなんか無い、とても大切な場所になった。



< 22 / 140 >

この作品をシェア

pagetop