変わり者同盟
勿論、答えが返ってくるはずもないんだけど。

変わりに、キーンコーン・・・と、授業終了のチャイムが鳴り響いた。


「おぉ、もう授業終了か。早いなぁ。
じゃ、今日の分終わらなかったから、配ったプリント、宿題な。各自やってくるよーに!」

元気に言った古文の先生の言葉に、心の中でため息をついた。皆も心の中でついてると思う。

・・・この先生って、いつも雑談して、授業潰れて、結局宿題になるんだよね・・・。


そう思いつつも、起立、礼、ありがとうございましたー、と、順序良くこなし、私達は休み時間へと突入した。

古文の先生はさっさと教室から出て行く。


私は、すももちゃんたちに腕を引かれ、すももちゃんの席へと強制連行された。


「冬香!さっきも聞いたけど、久流君と遅刻してきたって・・・どういうこと?」

すももちゃんが可愛く首をかしげた。本当に不思議そうな顔だ。

菜子ちゃんと美沙ちゃんも、不思議そうに私を見ていた。


「あのさ、冬香。もしかしなくとも、すもものお願い、聞いてくれたの?」

美沙ちゃんがじっと私を見ながら聞いてきた。


私は俯く。

だって、久流君と話した時、すももちゃの話なんか何もしてない。売り込んでなんかいない。

どう、言えばいいんだろう・・・。


久流君と変わり者同盟っていう同盟を結んだんだよ?

久流君は優しいみたいだから、私が元気なかったのを見て、元気付けようとしてくれたんだよ?


・・・・・・どれを言っても、すももちゃんから冷たい目で見られそう。
そもそも、信じてくれるかも怪しい。

そ、それに、私、変わり者同盟のことも、久流君が私を元気づけようとしてくれたことも、教えたくないっ・・・。

なぜだか、強くそう思った。


教えたくないと。

できるならば――久流君と私だけの秘密にしたいと。




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