変わり者同盟
端整な顔の彼は、たいてい1人で本を読んだり寝ていたりする。

群れること嫌う、孤高の一匹狼。私には、そんなイメージがある。


といっても、話しかけられれば応対するぐらいのことはするらしい。

何気に親切だって話もあがってる。


・・・こういう情報は、全てすももちゃんから聞いた。

というか、3人のお喋りを傍観している私には、否応無しに耳に入るんだ。


ちなみに、すももちゃんは久琉君のことが好きみたい。
もの凄い、情報収集してる。

すももちゃんは明るくて可愛くて、知り合いもいっぱいいるみたいだから、けっこうな情報が集まってる。



「あぁ~・・・こっち見てくれないかなぁ。」

「すもも、そんなに気になるんなら、話しかけりゃいいじゃん。」


じぃっと久流君を見ているすももちゃんに、菜子ちゃんが呆れたように意見した。

すももちゃんは、はぁっとため息をつく。


「できたら、もう、してる。でも、久流君そんなに話しかけられるの好きじゃないみたいだし・・・。」

「あー・・・確かに、久流だもんなぁ。」


すももちゃんの答えに、菜子ちゃんが成程と言うように頷いている。

そんな2人を見ながら、不思議そうに美沙ちゃんが言う。


「すももほどの可愛い子に話しかけられて、嬉しくない男なんているんだ。
やっぱ久流君って変わってるわね。」

「確かにねぇ。やっぱ久流は他の男子と一味も二味も違うってことかねぇ。」


美沙ちゃんの考えに、菜子ちゃんが大きく頷いた。




――そう。

久流君は、一匹狼でありながら、変わり者でもある。


入学式の時には、なぜか1人だけ屋上で寝ていたらしいし。

体育祭の時には、なぜか10匹もの野良猫を引き連れてきたし。

文化祭の時には、なぜかクラスのことそっちのけで木に登っていたらしい。



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