変わり者同盟
「あ、はい!失礼しました!」

「失礼しました。」


私が言った後に、久流君がポツリと言い、大河内さんが左手で虫を追い払う仕草をした。

思わず苦笑しつつ、久流君と一緒に早足で教室へ向かう。


「あの、久流君・・・なんで、私なんですか?」

教室へ向かいながら、つい、疑問がこぼれた。


「なんで、“本当の裏庭”を教えてくれて・・・“本当の裏庭”について、聞かせてくれようとするんですか?

なんで、私に?他の子じゃなくて、なんで、私なんですか?

変わってるから?

でも、最初に“本当の裏庭”に連れて行ってくれたとき、私が変わってるなんて、思ってなかったんじゃないですか?」


口から溢れる疑問。

だって、本当に、不思議なんだもん。
地味で、目立たなくて、面白みの無い私を・・・どうして?


久流君は、何かを訴えるように私をじっと見つめた。

そっと、2人して足を止める。


何かを訴えるかのように、ただ真っ直ぐに、ひたむきに私を見つめる久流君。

私は、そんな久流君を見つめ返すことしかできなくて・・・なんだか、すごく、もどかしい。


たっぷり数十秒後、久流君はふいっと顔を背け、早足に歩き始めた。

「比佐乃、敬語やめろって言ってるだろ。」


それだけ、言って、先にスタスタと行ってしまった。



―――どうして・・・


「答えて、くれないんですか?」


久流君のことが、全然、分からない。

なんで、あんなふうに、私を見つめたの?


束の間、私は廊下で1人、立ち尽くしてしまった。




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