変わり者同盟

隠された森の真実





―――――――――――――――――――――――――――――・・・・・・



「ハァ・・・」


美術室の中。

右手に絵筆を持ちつつ、私は何度目か分からないため息を零す。

目の前には、雪が積もった椿が前にある、瓦屋根の家が描かれているキャンパス。


黙々とそれぞれがそれぞれの絵に向かっている最中、私のため息は真剣な空気に飲み込まれ、響く事はなかった。


放課後の部活動。

それは私にとって、学校生活の中で一番と言われるほど安心できる時間。


・・・・・・だから、なのかな・・・。

授業中や休み時間のときよりも鮮やかに、あの、不可解な久流君が脳裏に蘇る。


私の溢れ出た疑問に、何一つ答えてくれなかった久流君。

なんで、なんだろう・・・。


久流君はそんなに意地悪じゃないし、私が不安になるようなことを、進んでやるような人じゃないはずなのに。


・・・・・・もしかして・・・後悔、してるとか?

私のこと“本当の裏庭”に連れてって、変わり者同盟結んだこと、後悔してるとか?


――ドクンッ

心臓が、嫌な音を立てた。


ありえない、わけじゃない。むしろ、ありえる。

話してみたらうざかったとか?気持ち悪かったとか?もう関わりたくないとか?


「・・・・・・っ・・・」

あり、える。

自分がどれほど平凡で、面白みがなくて、地味なのかなんてのは、私が一番よく知ってる。



< 55 / 140 >

この作品をシェア

pagetop