変わり者同盟
『ヒーロー?私は女よ?』

眉をひそめるも、彼は態度を全く変えずに、さらりと説明した。


『ヒーローなんだよ、俺にとって。


高校の入学式んときさ、俺、ハッキリ言って絶望してたんだ。



入学する前、18歳まで生きていられるか分からないって医者から言われて。


病院にこもって一日でも寿命を延ばすか、もう諦めて外に出るか。

二択、迫られてた。


でも、俺、小2ぐらいから学校行ってなかったし、病院は正直嫌いだったから、外に出る事にしたんだ。



そんでも、やっぱ、言い知れないもわもわが心の中を塞ぐんだよ。


隣にいるやつは、ほぼ確実にこれからもずぅーっと生きていける。

高校の卒業式にだって出れる。


でも、俺は、もしかしたら卒業式まで生きられないかもしれない。

卒業できたとしても、未来なんかない。


そう思うとさ、なんかこう、ずぅーんってなるというかさ。

俺が今ここにいる意味ってなんなんだろー・・・とか思っちまうワケだよ。



で。

そんなどんより入学式の後に現れたヒーローこそが、真由美なんだよ。



覚えてないか?


ここ・・・裏庭でぼやーっと突っ立ってたアブナイ男子生徒のこと。』



彼がふっと口をつぐむ。


私は、彼の言葉が引き金となり、懐かしい光景が脳裏にぼんやりと浮かんだ。



『・・・・・・・・・そういや、いたわね。そんな子。』





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