変わり者同盟
“高校生活、は、一度きり。

その始まり、で、どうしてそんなに苦しそうにするのよ。

何も始まってないうちから、くよくよ悩むなっ!!!”


言わずに、いられなかった。


教師として。
大人として。

彼の、近くにいた人として。



目を見開いて、驚きを露にする彼が、なんだか面白かった。

堪らなく、愛おしかった。



だからだろうか。


あの時私は、ぽんぽんと、彼の頭を撫でて、ちょっぴり微笑んだ気がする。




“なんて。本当は人のこと言えないんだけどね。

私もすごく不安なのよ、実は。ふふっ


ま、お互い頑張りましょうね。”


って言って、気を使ってその場から離れたんだった・・・。





『思い出してくれた?』


ニコニコと屈託なく笑う彼が、なんだかひどく眩しかった。



『えぇ・・・でも、あの時の私は、あなたが死ぬか生きるかとか、そんな深刻なことで悩んでるなんて思わなくて・・・・・・

無神経、だったんじゃないかしら・・・。』


不安げに呟けば、彼はキッパリと首を振ってくれた。



『違うよ。

確かに、無神経だったかもしれないけど、あの時の俺には、無神経なくらいが丁度良かったんだ。』




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