変わり者同盟

気付いた関係







――大またで歩きだした久流君が向かったのは、“本当の裏庭”だった。

いつものひらけた場所にくれば、久流君はどさっと腰を下ろす。


「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」



沈黙がこの場を支配した。

そ、そういえば私と久流君、微妙な雰囲気になってたんだった・・・。


さっき色々複雑なことも聞いちゃったし・・・気まずい・・・。

しかも、未だに“気まぐれ説”は私の脳内に君臨してるし・・・。



「・・・・・・嫌悪感、抱いたか?」

不意に言葉を紡いだのは、久流君。


私は予想外の言葉で、目をパチクリさせる。

「嫌悪感?」

「そう。抱かなかったか?教師と生徒の、身勝手な恋の末、生まれた俺に。」

彼は冷めた笑みを浮かべて、静かに言う。


「しかも。俺を産んだ母親は、俺が2歳くらいのときに離婚して、血の繋がらない父さんが、俺のこと育てたんだ。

ありえないだろ?」


淡々とした声だけど、黒い瞳は不安定にゆらゆら揺れていて。

片方の足だけ立てて座っている久流君は、立てた膝に額をつけた。


「――わかんねぇよ。」

かすれた声が、静かな森の中に響く。


「なんで、母さんは自分で育てなかったんだよ・・・。
なんで、父さんは自分の子供じゃないのに、育てたんだよ・・・。」

かすかに震えている声が、私を揺さぶる。


久流君・・・
久流君・・・
久流君っ・・・


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