恋されてヴァンパイア
第3話☆私の秘密
「お嬢!ご無事で!!」
私が屋敷に着くと、エレンが駆け寄ってくる。私の命令とはいえ、ちょっとでも私のそばを離れたから、心配だったのだろう。
「ああ…大丈夫よ。そんなに軟じゃないから」
私はそう言って、無意識に髪を掻き上げた。…それがいけなかった。
私は、あいつに付けられた傷のことを、すっかり忘れていたのである。
それを目ざとく見つけたエレンは、私の右手をつかみながら早口でまくしたてた。
「どこが……どこが大丈夫だよ!!!こんな傷つくって!!全然大丈夫じゃねーだろうがっ!!!」
「ぅ……それは…」
それに関しては言い訳が通用しない。もともと幼馴染だからだろうが、こんな時エレンは、親より真剣に怒る。
「……ごめんなさい…」
「…分かりゃあいいんだよ、分かりゃあ…」
エレンはそう言って、私の頭をポンポンと叩いた。
昔から、この仕草は変わらないなぁ…。
「…そういえば、神峰は?」
「命に別状はないようだ。今ルビーが手当てしてる」
「そっか…」
良かった……あれでもし、神峰が死んでたら…神峰の両親や学校に、申し訳が立たない。