誕生日【短編】
【in 〇×公園】
私が公園についた頃には、
郁くんは既に来ていた。
『郁くん……………。』
「……………………柚……………。」
『柚。…………誕生日おめでとう。』
「っえ…………?!」
郁くんに突然誕生日おめでとう
なんて言われた。
……………………………でも。
『わ、私の事………嫌いなんじゃ………。』
だから一緒に帰ってくれないと
思っていたのに…………。
「もしかして………一緒に帰らなかったから?」
『っ!?…………そぉだよ……………。』
そうだった。郁くんはカンが鋭いんだった。
思わず、俯いていると。
「柚。………………聞いて。」
いつの間にか郁くんが目の前に居た。
驚いて顔をバッと上げる。
そこには微かに微笑んでいる郁くん。
「…………柚。俺は…………無口だし、
柚に不快な思いをさせるかもしれない。」
突然郁くんが話し出す。
『そっ、そんなこと……っ!!
あるわけ「だけど!!」っ!?』
「不安な思いをさせたくないから…………!!
だから、高校を卒業したら…………!!!!
───俺と、ずっと一緒に居てください!」
────ぽろっ。
『ふぇっ………………』
涙が溢れて止まらない。
突然郁くんに言われた言葉は、
私の涙腺を崩壊させるのに
充分すぎる言葉でした。
その後、郁くんに渡されたのは、
小さなダイヤモンドの付いた指輪でした。
わざわざ予約してくれていたんだって。
だから今日一緒に帰れなかったって。
後からこうして聞いてると、
あぁ、私、愛されてるんだと思ったりした。
二野原 柚。17回目の誕生日は、
今までの中で一番幸せな誕生日でした───