夏休み

出会いと思い

「あれ？見掛けない顔だね」
後ろから掛けられたその言葉に、直哉はうんざりしていた。
というのも、あの祠から戻って来た間に何度も色々な人から同じ質問をされたからである。行きはまだ陽気が暑かったので、村の人々も家の中に居たようだが、日が沈みかけてきて、風の涼しさが増してきたので、活動しだしたようだ。ため息付きながらも先程と同じ答えをしようと振り向いた時。
「・・・！」
「ん？」
後ろを振り向くと、そこには自転車を押して歩く一人の女性が立っていた。
「あっ、あの」
直哉はその女性があまりにも綺麗だったので、魅取れてしまい、声が出せなかったのだ。
「えっと、オレはかず子さんの孫で・・・」
「あぁ、あなたがカズバァの！はじめまして、私の名前は雪美よろしくね」
雪美は笑顔を向け、直哉に近づいた。
「君の名前は？」
「あの、直哉です！」
「小学五年とか？」
「はいっ！そうです」
「そっかそっか」
雪美は、一人納得したように頷いた。
「？あの、失礼ですが、雪美さんは・・・？」
「ん？私は今年高一年ですよ、それより、直哉くん急なんだけど明日って空いてる？」
「えっ！？」
雪美は満面の笑みを直哉に向けたのだった。