This is us -2
「蓮ちゃん、俺がこんなこと言うのもどうかと思うんだけどさ…」
パイプ椅子に腰を下ろして、佐々木は静かに話し出した。
「小田切さんのこと、見てもなんとも思わない?何も感じない?」
「どういうことだよ」
佐々木は膝の上で拳を強く握る。
「…なんで、なんで…なんで!!小田切さんなんだよ?!」
佐々木の叫び声が、部屋中に響いた。
個室で良かったと、思うけれど…
「俺の事は忘れたっていい!!けどな、小田切さんの事は!小田切さんの事だけは忘れちゃいけないんじゃないのか?!一番大切な人をあんなに傷つけて、そんなの…そんなのあんまりだよ!!」
佐々木は泣いていた。
何故か、俺の瞳からも涙が溢れた。
意味が分からない。
佐々木がどうしてこんなに怒っているのか。
分からないけど、心のどこかがえぐられたように痛い。
じんじんと、痛むんだ。
俺は、何か大切なものを忘れてしまったのか…?
涙は頬を伝い、手の甲にぽたぽたと落ちていく。
なんで、泣いてるんだよ、俺。
.