This is us -2
「とりあえず…明日そっち行くから」
「え…?」
「佐々木から、聞いた。実家に帰ってるって」
優花の顔が浮かぶ。
ポロポロと涙が落ちていく。
「うん…」
「泣くなよ。悪かった…」
違うよ。自分が嫌で悔しくて涙が出るの。
結婚するのに、私は自分の事ばかり。
支えていきたいって思うのに。
私、結婚していいのかな…
「じゃあ、明日な」
想いを巡らせているうちに電話が切れた。
涙を拭いて、左手の指輪を擦る。
嬉しくて、幸せで、一生一緒に生きていこうって誓ったあの日からずっと…。
毎日が輝いていて、あっという間だった。
もうすぐ、私は彼の妻になる。
不安がどっと押し寄せてきた。
「メアリッジブルーね」
「へ?」
洗濯物を畳むお母さんは、自信満々に答えるけれど。
「マリッジブルーのこと?」
「そうそれ!気にしないことが一番よ。誰だって不安になるんだから。大丈夫」
「うん」
お母さんはニコニコ笑いながら、鼻歌を歌い出した。
「さとりがお嫁に行くなんて、本当…あっという間なのね」
「お母さん…」
いつも、側で味方してくれていた。
部活をやめろと言われた時も、テストの結果が悪い時も…
おとなになったけれど、本当は今まで以上に泣き虫になったんだよ…私。
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