恋の片道切符
「うん、会ったよ」
それでも私は口角を上げて声を弾ませて言う。
「話せた?」
食い入るように麻弥が聞く。
「話せた、よ?」
何故か答え方が疑問詞になる。
「そっかあ。良かったね」
クククッと麻弥が電話越しに笑った。
私もクククッと笑う。
「私さあ」
目を瞑り、私は口を開く。
「篠崎さんのこと、好きかも」
何言ってるんだろう。
まだ、好きとかわからないのに。
再会して、話したばかりなのに。
初恋、それは当に昔のこと。
だから、その想いは忘れてもいい筈だ。