恋の片道切符
どこを漁っても生徒手帳は見つからなかった。
「落としたんじゃない?」
麻弥は首を傾げて言う。
「生徒手帳を手に取ったとかない?」
さすが親友。
そんなことも見抜いてしまうなんて。
「うん。手に取ったよ」
「じゃ、それが原因だね。どこかに落としたんだよ」
「そっか」
「どこに落としたかわかる?」
私は首を横に振った。
「わからないの?」
「あ、電車に乗ってる時はあったよ。その時に手に取ってたんだから」
「じゃ、駅のどこかで落としたんだね。帰り、駅員さんに聞いてみようよ」
麻弥が微笑みながら言う。