恋の片道切符

彼は目が大きかった。

二重で少し長めの髪が印象的だったのを覚えている。

そして笑うと八重歯が見え隠れする。

それが私を惹きつけた原因なのかもしれない。

私は彼を見つめ「ねえ、」と声をかけた。

「うん?」と彼は聞く。

「紗理奈とお友達になって…?」

おずおずと言った私に彼は、はははっと笑い「嫌だな、もうお友達だろう?」と私の視線に合わせて言った。

まさかそんな返事が返ってくるとは思わなかった。

「じゃ、改めて自己紹介。俺は篠崎啓吾」

「紗理奈は松井紗理奈」

「宜しく。紗理奈ちゃん」

「宜しく」

「俺のことは啓吾って呼んで」

「じゃ、啓吾君って呼ぶ」

「はいはい」

そんな会話をして仲良くなったんだ。

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