恋の片道切符
再会
私は立ち止まって彼を見ていた。
「駅到着です。どなた様も一旦お降りください」
彼がそうアナウンスする。
「…っ」
声変わりをした、あの人。
あの頃より、声が凛としている。
青に透き通った、爽快で且つ、頼もしい声。
いつまでそうしていただろう、私の視線に気づいたのか、彼が私に目を向けた。
そして、「あ、」というように目を見開いた。
私は咄嗟に目を背ける。
目が合ってしまった。
彼は私を見てどう思っただろう。
そういう不安が心を押し寄せた。