恋の扉を開けて
「コスチュームは現実だが本当の現実ではない。架空の世界のものだ、客にとっての。」

「現実の自分が私の中で薄れていくんです。」

「ではどうしたいんだ?ウィークデーも店に出るつもりか?会社を辞めてそうしたいのか?」

「わかりません。わからないんです。すんなり戻れないんです。専務、私を現実に戻してください。明日会社に行けるように戻してください。」

「俺にできることなら何でもしよう。だが戻せと言われても戻るのは君自身だ、俺じゃない。」

「じゃぁ、私を元に戻すのを手伝ってください。」

「何をどう手伝えばいいんだ?ルリル、君は混乱しているだけだ。」

「お願いです。今ここで私を抱いてくださればいいんです。現実の普通の女に戻してください。」

「ダメだ。そんなことはできない。」

「何でもしてくれるっておっしゃったじゃない。さっきできることなら何でもするって。」

「ルリル、よく考えるんだ。君がコスチュームを着るのは仕事だからだ。単なる制服なんだ。」

「特別な制服でしょ?別人になるための。」

「そうだ。それを脱げば本来の自分だ。何も難しく考えることはない。」

「じゃあ、専務、私を見てください。」

彼女はいきなり俺の目の前で素っ裸になった。

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