恋の扉を開けて
俺はデスクに脚を乗せて椅子に深々と座り息を静めた。

そしてまだ意識の戻らない素っ裸でソファに伸びているルリルを見守った。

目を覚ましたら何と言うだろうか。

もう店には出ないと言うだろうか。

そんなことよりちゃんと戻るのか。

男に抱かれるだけで本当に戻るのだろうか。

俺には今この状況が現実とは思えなかった。

第一、俺でよかったのか。

恋人かBFでなくてもよかったのか。

男なら俺でなくても誰でもよかったのか。

それも疑問だった。

「ふぅ。」

「ルリル、気がついた?」

彼女の体が小刻みに震えていた。

「体が震えちゃう。」

俺はバスタオルを肩にかけてやった。

彼女の隣りに腰掛けて様子を伺った。

彼女は胸の前で膝をそろえてソファに寄りかかった。

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