恋の扉を開けて
彼はサラリーマン風で疲れが顔に出ていた。

まぶたを閉じて今にも眠ってしまいそうだ。

声は低い方でかすれ気味だ。

年令は40前後に見えた。

「実はロシアから帰ったばかりで空港からそのまま来たんだ。」

「ロシア!素敵な響きですね。」

「出張だと最悪だよ。」

「シベリアの白銀の世界を想像できます。」

「君とならまた行ってもいいよ。」

私は彼の目を見つめて静かに笑みを浮かべた。

彼も私に笑みを返した。

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