恋の扉を開けて
私は土曜日の朝9時に店へ顔を出した。

昨日メイド・カフェのメイド嬢になってみないかと私に声をかけた長谷川専務が言った。

「ネームを作った。これを左胸に付けて。それからメイクは奥でアーティストのビリーが直してくれるから心配ない。君のコスチュームは迷ったがダークグリーンにした。昨日試着したワインレッドのものとデサインは同じだ。ネイルのアドバイスもビリーに聞くように。彼には何でも相談してくれて大丈夫だ。メイクとネイル以外、ヘアとアクセ、それにフレグランス、全て彼に任せている。今の気分はどう?」

「何も。」

「じゃ、着替えてきて。店で待っている。」

「はい、専務。」

今日一日トライアルだ。

店は10時に開く。

私は奥のメイク・ルームへ入った。

ビリーはハーフだった。

初めてなのに何でも話せた。

まるで女同士のように。

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