恋の扉を開けて
ξ.理解し合えるなら
僕は千葉秀作。

長谷川雅樹と以前一緒に働いていた。

彼のスポーツ・コンサルタント会社で2流選手のトレーナーをしていた。

しかしカメラマンの夢を捨て切れず、彼に無断で欧州へ飛び出た。

2年振りに帰国し、叱責を覚悟して彼に会った。

そんな僕を彼は歓迎してくれた。

心底嬉しかった。

今度は彼の夢が叶うことを願い、そのために可能な限り役立つ決意でいた。

僕は知る必要があると思った。

被写体を理解するには、ひたすら撮りまくり、動きを付けさせて隠れた才能を引き出し、凝縮させたその一瞬をフィルムに納める。

際どいテクニックを使うことになるが、収穫は最大にして最強のものだ。

彼女の、正確にはルリルの魂を写し取ることができたら、今の雅樹に最大の有益をもたらすはずだと僕は考えていた。

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