恋の扉を開けて
π.レンズの前で
「まず最初はこれを着て暖炉の前に。」

「はい。」

私は千葉さんの指示に従った。

手渡されたのは漆黒のベロア地だった。

ハンガーポールの後ろには折り畳み式のパーテーションがあった。

早速、私はその後ろで着替えた。

彼のリクエストでランジェリーは何も着けなかった。

肩とデコルテが全開のロングドレスだ。

素肌を滑るそのなめらかな手触りにうっとりした。

私は暖炉を背にしてラグの上に座り、千葉さんのカメラを見上げた。

「ルリル。」

「はい。」

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