恋の扉を開けて
カメラのシャッター音が心地良かった。

千葉さんはなめらかに私を動かした。

どのドレスも私の気持ちを高揚させた。

私が最後に身に付けたものは、淡いブルーのシースルー地で、レースのカーテンよりも透けていた。

ウエストから下は金魚鉢をひっくり返したような形で、腰回りにワイヤーがぐるりとついていた。

上半身はビスチェ風なレースのニッパーに、金魚鉢を縦にカットした形のバストカップが付いていた。

私が暖炉を背にして立つと、ドレスの中にくっきりと身体のラインが透けて見えた。

ワイヤーでできたショーケースの中に、裸で飾られているような気分になった。

千葉さんはルリルの魂をレンズの中に写し撮った。

店で動くルリルではなく、彼のフォトプレートの中に静止したルリルは、その幻想的な止まった時間の中で息づいていた。

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