恋の扉を開けて
なぜか急に専務に会いたくなった。

用もないのに閉店時間に店へ顔を出したら変に思われてしまう。

ベッドに転がった。

天井を見つめながら思い出した。

初めて専務に声を掛けられた時のことを。

懐かしいような、恥ずかしいような、不思議な感じがした。

私は専務に恋をした。

好きという言葉だけでは足りないこの気持ちは、どういうことなのか考えた。

愛しい想いを持ちつつ、彼を支えたい。

もちろん彼にも愛されたいけれども、その前に私が彼を想う全てでいつも接していたい。

彼が何を思い、何を言い、どう行動して、どんな風に進んでいくのかを見ていたい。

そばで見守っていたい。

そんな風にできる自分でいたい。

そう思った。

そして、そう思うことで自分をなぐさめると、とてつもなく切なくなった。

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