Dear.
「慶ってさ、意外と強引っ。」



震える彼の声、それだけで分かってしまう彼が今泣き声を押し殺して涙していることが




「はい、強引ですよ?」



総司の手で視界が暗い中でも私の瞳からは総司と同じように涙が溢れ出してくる



きっと彼は泣き顔を私に見せたくないのだろう


たまに聞こえてくる漏れる泣き声や、袖で涙をふく音などを聞くだけで、それだけでなんとも言えない安心感が湧いてしまう




誰の為に山南様が命を落としたのかとか、なんでここへ戻ってきたのか...、それは私にはまだ分からない



けど、山南様が介錯を総司に頼んだのは...それはきっと彼がこの先強い剣客になる為への導きだと思っても、今だけはそう思ってもいいですよね?




クシャクシャになった清光様への文


一人一人の隊士や幹部たちが部屋にこもってかつての仲間を思い涙した夜




そして全てが終わり、始まった新たな夜




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