Dear.
それから数日、まだ山南様の死から誰もが立ち上がれない中、一人の人が再び西本願寺の門をくぐる姿が、庭の掃除をしていた私の目にとまる
「明里さんっ!」
箒を片手にかけよれば、和やかな笑みで私にそっと小さくてを振ってくれる
「どうしたんですかっ?
あ..もしかして山南様の形見とかを...」
私がそこまで口にすると、眉を少し下げて、首を振る彼女
「今日は、お礼を言いに来ただけや」
「...お礼??」
何故..、明里さんはお礼を言いに来たのかが分からない
だって彼女は、最愛の人をなくして..この新選組を憎んでいたって、仕方がないのに。
「お礼。
あの人と巡り合わせてくれてありがとう
あの人に大事な場所を与えてくれてありがとう
この前、言えんかった事、全部言いたくなってなぁ。」
遠くを見る明里さんの顔は清々しく、目は未来へと向かっているような気がした
「そうですか..じゃあ、近藤さん呼んできますね!」