Dear.
それに彼は私を加えようとしているのだ



そんなの...


「出来ません。
そもそも私は女中に過ぎないし、それに....居候の身でもあれば、彼らには恩があります。

だから...」



”ごめんなさい”そう丁寧に頭を下げる



その途端、その部屋には沈黙が流れて、頭の中に浮かぶのは総司の顔だけ


ここから早く逃げ出してしまいたい、本気でそう思った



そんな中口を開いたのは伊東様



「ねぇ...前から気になっていたのだけど、あなたは何故ここにいるの?」



「...恩があるから、ともうしたはずです。」



「へぇ、じゃあ貴方は身内を殺されたのに、そんな人たちの恩を借りたの?」




キーンっと空気が張り詰める
何か嫌な予感がする



「..なんの、事...ですか?」



聞かなきゃ良かった
知らなければ今のままで入れたというのに


どうして私はこんな事を聞いてしまったんだろう。



「あら、知らないの?










貴方の兄は....



沖田総司に殺されたって事を━━━。」






闇に飲まれた


背後から引きづり混まれた







その闇の正体は.....




『酷いなぁ、慶


俺を殺した総司を好きになるなんて』




私が作り出した、兄の幻影




助けて、助けて...総司





一粒の涙が頬を伝い







ついに堕ちた。
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