Dear.
見ないで...



「...武久、断ってもいいのだぞ」



斎藤様は知ってる、縁談の話を。

だからって、そんな同情した事を言わないで



「武久、お前が好きなのは...そ「斎藤様っ!!!」」



彼の名を言って欲しくない、今聞きたくない、それだけで自分でも驚いてしまうくらいの大きな声で斎藤様の言葉をさえぎる



大丈夫よ、私は強いもの


「私....お嫁に行きますよ

綺麗にお化粧して、幸せになりますよ。」




ほら、嘘の言葉だってすんなり口から出てくる


笑顔だってつくれる





だから、斎藤様、今は彼の名を出さないで


思い出してしまう


泣いてしまう



壊れてしまう




耐えきれなくなるの自分の運命に





私は武久 慶で、強くて頑固で...


好きな人の敵となる長州に嫁ぐ女




「斎藤様、私は幸せですよ?
こんな私でももらってくれる人がいるんですから!」



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