Dear.
そこまでしなくても、足を斬られた時点でなにも出来やしないのに


念には念を....


なんともあの伊東様らしいやり方だなと何処か納得さえもしてしまう



だが、分からない事が一つある



『貴女は道具

それに逃げられたら困るでしょう。』


その言葉だ



道具というのはなんとなく自分でも理解はしていたのだが、逃げるというのがよく分からない



逃げるなど、考えていなかった


なの何故...



その理由を考えてみるが一向に答えがわからぬまま時が過ぎてゆく


寒さで身をぶるっ、と震わせればなんとなく夜が近いのだと理解できた



足の痛みも徐々に慣れてきたものの立つことは不可能だな、と思う


こんな時思い出すのは新選組での楽しかった時の事ばかり


沢山の仲間が共に過ごし、一緒になって笑いあった輝かしい日々


「総司...」



もしかして罰が当たったのかな

自分の気持ちに嘘をついてた事や、総司を深く傷つけてしまったことの罰かな。




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