Dear.
やっと、会えるんだ━━━


「よしっ、着いたで!」


ゆっくりと屯所の門のまえで降ろされて、足を引きづりながらも彼への元へと歩みを進める


山崎様からは総司の側まで連れて行ってあげると言われたが、それは私が断った



彼の元までは自分の足で行きたいから



貴方に私から歩み寄りたいから。





「....そ、じ」




走れないもどかしさが、彼への想いを大きくしていく


ねえ、貴方になんて言えばいい?



愛している


ごめんなさい


そばにいて下さい


ありがとう?



全部伝えたよ総司



「慶っ!!!」



風に混じって聞こえる彼が私を呼ぶ彼の声



「総司っ、総司ぃ!!!」



涙が頬を伝って地面に落ちてはまた落ちて...



時には迷って貴方から離れてしまったけれど、それでもそれでも私は貴方に手を伸ばす。



もう、過去なんてどうでもいい

幸せな日々なんてもういらない

動乱の中で、悲しみ泣き、たとえ明るい未来が待っていないとしても、それでも貴方に伝えたい想いがある
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