Dear.
一の誠とはなんとも洒落た名前で、なんとも嬉しい名前だ
『そうか...そうだね』
涙を、こぼさずにはいられなかった
こんな小さなまだちゃんとこの世にいない男の子は僕と慶が生み出した奇跡
恋文のように淡くて切なくて、だけど愛おしい存在
『待ってるから。』
慶と一緒に君があの世界で生きてゆくのを待ってるから
そこでプツンと意識は切れている
だけど、きちんと彼はいるのだ
「総司っ?!
あ、あぁっ...総司っっっ!!!!」
この泣きじゃくる甘えん坊の僕の妻のお腹の中に
泣かないでよ、って頭を撫でるけど全然泣き止む様子はなくって、まあ死ぬとこだったんだし当たり前か、って苦笑してしまう
「ねえ、慶....
名前決まったよ?」
「...な、にっ?」
「一の誠で一誠。
沖田一誠だ....」
あの何処か慶に似ている目尻と、僕に似ている髪色を思い出しながらそういえば慶は「一誠くん...」と嬉しそうに笑う
さっきまであんなにないていたのに百面相とは慶の事だ
「まるで、山崎様の生まれ変わりというより総司の生まれ変わね」
クスと笑うけど、これ以上いい名前なんて思いつかないし、つける気もない
そもそもあの子が教えてくれたんだ
変える気は毛頭ない