Dear.
「あ、あのっ...!!!」



彼の行動に、振り回されつつも話を切り出そうとする

.....が、彼の勢いは止まることを知らないらしく、今度は強く抱きしめられてしまう





「....!!!!」




ギュウッと強く抱きしめられれば、すくんでしまい、言葉など出ない




「慶....慶さん。



やっと、会えた...」




彼はまるで優しく、宝物を口にするように私の名を呼ぶ。




それが嫌だとか、嫌悪感を抱くわけでもなく、凄く心地の良いもので...




この人が、本当に清光様だったら...いいのにな。



なんて願望まで出てきてしまう






「沖田組長....!!」





暫らくすると、状況をなかなか飲めずにいた門番の隊士が彼の名を口にする




「ああ、ごめんよ。

つい嬉しくてね。」





長いようで短かった時が終わり、彼の、私を包み込む手が離れてゆく




それが名残惜しいなど、口が裂けても言う事は出来ない






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