Dear.
血に飢えているからか。



なら、もっと、もっとだ。




もうここ(一階)に僕の斬るべきものがいないのなら、二階だ



階段で苦戦している平助の横をスルリと抜けてゆく


「お先に。」


そう言うと悔しそうな顔して、今戦っている相手にとどめを刺そうとする



二階へ辿り着いたのは僕が一番



他の人はまだ下で頑張っているみたいだ



月明かりが窓から差し込めば、自分の着ている服が血まみれなのがよく分かる



『ひ、ひぃ!

化け物っ!!!』


成る程。

そう言う理由(わけ)も分からなくはない


『では、総司の強さとはなんなのですか?』


今朝、彼女は僕にそう問いたけど、



僕の強さは斎藤君見たいな、強さではない


僕は彼みたいに年から年中強さを全面に出し、殺気で相手を怯えさせてやることは出来ない



けど、僕は彼にはない物がある



こうやって、血に飢えた狼のように凶暴な牙を剥き出しにして、一切の感情を何処かへ置いて...


仲間でさえ手をかけることが出来る



そんな狂った強さ。




彼女はそんな僕を見たらどうなるだろうか?


興味があるところだが、それは出来ない



約束をしてしまったから。

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