Dear.
油断大敵


という言葉があるが、この時私はかなり油断をしていた


少しは大人になったと言う自分への安心感と、皆さんも飲んでらっしゃるし、という二つの理由から



でも、あとあとから酒というものは徐々に体を火照らせ、自我を忘れさせ...



自分ではない自分が、大変な事をしでかすというのに。




............たいぶ、お酒を口にした頃だ。


「...暑ぅい〜。」



パタパタとてで仰ぐが一向に暑さが引くことはない


逆に体の真から燃えるように熱くなってくる



「ん〜〜、脱ぐぅ!!!」



「ブッゥゥ!!!!
な、ぁっ! た、武久っ!!!?」


私の異変にいち早く気づいた斎藤様は口に含んでいたお酒を豪快に噴き出すと慌てて着物を脱ごう脱ごうしている私の手を抑える



「んん?

斎藤しゃま、手をどけて下しゃいよ〜

脱げないじゃあないでしゅか?」


呂律が回らず、かなり紅潮した顔。
これでは先程の平助と、さほど変わりはない



「落ち着け、武久っ!!!
よ、酔っているのではないかっ?!!」


慶が酒を口に含んだのはほんの2〜3杯といったところだが、この酒は美味しい変わりにかなり濃い酒である


もし、もし、慶が酒に弱かったとしたら、酔ってしまうのは当たり前。



だが、慶は

「ん〜?
酔ってないでしゅよぉ〜?」


と叫びふらふらとする足で立ち上がる


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