兄が自分の元を離れ京へ行った。
遠く離れた地で一人暮らしていた慶。
立派な武士になって、戻ってくるといった兄。
しかし、彼女が望んだのは、そんなことではない。
ただ、そばにいてほしかった。それだけなのに…
戻ってきたのは、兄ではなく一通の手紙。
そこに書かれていた訃報。
信じられなかった。信じたくなかった。
自分を案じる言葉も目に入らなかった。
しかし、忌々しいはずだった手紙はいつしか、慶の支えとなっていた。
何通も手紙をやり取りし、相手に会いたいと思い始める。
心を決め、京へ…
そこで、彼女が出会ったのは…
そして、彼女が愛するのは…
手紙から始まり、手紙で終わる。
ただ、ただ、読まずにはいられない。
そんな作品となっています。